なんでもかんでも引き受けていた初年度。

 声をかけてもらうのが嬉しくて、10のうち9のライスもふたつ返事だった2年目。

 ライスばかり受けていると、ライフワークに割く時間がなくなるぞと調整を始める5年目。

 人生は短い。振り返ると、このものさしがあって本当に良かったとしみじみ思う。断るのがもったいなくて、あるがままに受けていたら、今おそらく書く仕事をしていない。ライスワークは、代わりがいくらでもいる。新人が次々出てくる。それだけだったら、必ず切られる時があったはずだ。

 数字に弱いので確定申告は今でも大嫌いな作業の筆頭だ。しかし、人生のものさしを取り出し可視化する、年に一度の重要な節目でもある。

「あ、今年、4対6でライフがライスを追い越した!」と明白に確認できた日の嬉しさは忘れられない。

 会社員でも、どんな仕事でも、与えられたフィールドの中でこのものさしを持っていると、お金や待遇だけに振り回されることが減り、きっと心強いのではないか。(「ライフワークとライスワーク」より)