最新ヴェゼルはこれらの相乗効果によって日常の街乗りや高速走行シーンで「BセグメントSUVで最上級の静かさ」と表現できるレベルに到達した。“e:HEV”と呼称するホンダのハイブリッドは、駆動力をモーターの出力でまかなうシリーズ方式をベースに高速クルージングシーンを中心にエンジン直接駆動モードを加えたシステムである。その仕上がりはなかなか見事。モーター走行とエンジン走行切り換え時でもノイズやショックはいっさい伴わない。

 一方で、上り坂など負荷が高まってアクセル踏み込み量が増すと、それまでの静かさが急速に低下してしまう印象があるのも事実。従来型と比べるとその程度は明らかに小さくなっているものの、この点はヴェゼルのウイークポイントのひとつといえる。

 アクセルの踏み込みに対する騒音の変化は、よりパワフルなエンジンをゆったりと回すことで大幅な改善が望めそうである。だが1.3トン超の重量に1.5Lの自然吸気エンジンを組み合わせる現状では、このあたりが限界なのかもしれない。音の変化幅が大きい弱点は、このクラスでは珍しく後輪をプロペラシャフトを介して駆動する4WDモデルで、より顕著だ。4WDは、“リアルタイムAWD”システムの採用で80kgほどの重量増になるからだろう。

 とはいえ、ヴェゼルは際立つ動力性能や特段にシャープなハンドリング感覚が売りのモデルではない。ヴェゼルの狙いどころからすれば4WDは必須アイテムとはいえない。“降雪地帯なので4WD性能がほしい”というユーザーでなければ、FWDのハイブリッドこそが最善の選択肢である。新しいヴェゼルをドライブして、改めてそう感じた。

ホンダ・ヴェゼル・スポーツスタイル

ハンドリングが向上する専用スタイリッシュ18インチアルミ登場
エアロは“実効空力”をキーワードに開発

 純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスは、ヴェゼルの魅力をいっそう引き出す最新アイテムを多数ラインアップしている。

 テストドライブを行ったのは、e:HEVのFWD仕様Zグレードをベースにしたスポーツスタイル。これはホンダアクセスが提案する4種のコーディネートの中でアクティブスタイルと共にマイナーチェンジを機に設定された新作だ。