一般的に、大手総合商社は「高給取り」で知られる。業績が好調であれば賞与が上乗せされ、その年収はさらに伸びる。本ランキングの対象期間中の決算(23年3月期)では、商社は「資源バブル」に沸いた。三菱商事の純利益が1兆1806億円(前期比25.9%増)、三井物産は1兆1306億円(同23.6%増)と、初めて1兆円の大台を突破した。
他方、住友商事の純利益は5651億円(同21.9%増)、丸紅は5430億円(同28.0%増)だった。相対的に資源ビジネスの割合が少ない伊藤忠商事は8005億円(同2.4%減)で、5社のうち唯一、減益だった。これらの影響が、年収ランキングの順位の変化にも如実に表れていると言えるだろう。
商社の年収や働き方、最新の事業や業績の動向については、ダイヤモンド編集部が独自の視点で徹底取材した連載や特集を参考にしてほしい。
連載「クローズアップ商社」
日本の「エリート・ビジネスパーソン」の象徴だった総合商社が曲がり角を迎えている。脱炭素の世界的な潮流を受け、“ドル箱”だった化石燃料ビジネスが低収益化したり、中国や欧米の資源会社などとの競争が激化したりしているのだ。変化に対応できない商社からは人材の流出が始まっている。こうした激変期を、商社はどのように生き抜こうとしているのか。独自の視点でレポートする。
特集「伊藤忠 三菱・三井超えの試練」
伊藤忠商事は、財閥系の三菱商事、三井物産の背中を追い続けてきた。2021年3月期には、株価、時価総額、純利益の三つで財閥系を上回りトップとなる「3冠」を初めて実現したが、その後、抜き返されている。再逆転に向けた秘策は何で、実現に向けた課題はどこにあるのか。岡藤正広会長をはじめとする重役4人を含む伊藤忠幹部らへの徹底取材で、同社が越えなければならない「試練」を明らかにする。
ランキング完全版では、6位以下を含めた全188社の順位と平均年収を掲載している。年収が1000万円を超えた企業は9社、900万円台が10社、800万円台が24社あった。卸売業ゆえ一般的な知名度はあまり高くない企業が多いものの、188社の中には、キャラクターグッズ販売のサンリオや、カー用品店チェーンのイエローハット、モスバーガーを展開するモスフードサービス、カラオケの第一興商など、B to Cビジネスを手掛ける企業もある。どんな企業が何位にランクインしているのか、ぜひチェックしてみてほしい。
(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)