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あなたは一体、いくつのパスワードを使っているだろうか?Webアプリやオンラインサービスが一般化するにつれて、アカウントを作るたびに増えるパスワードに翻弄されるようになった。Appleはこれまでもパスワードをクラウドで管理し、デバイス間で共有できるiCloudキーチェーンなどの仕組みを提供してきたが、9月17日から配信が始まった最新の「iOS 18」では管理機能をアプリ化、さらに使いやすくなっている。今回は、その機能概要を紹介するので、パスワード管理に頭を悩ませている人はぜひ参考にしてほしい。また、AndroidデバイスやChromeブラウザなどで利用されているGoogleのパスワードマネージャーとの違いについても解説する。(テクノロジーライター 大谷和利)

セキュリティの高いパスワードの功罪

 パスワードは基本的に長ければ長いほど、また、さまざまな文字種が混ざっているほどセキュリティが高く、破られにくいとされている。そのため最近では、最低8文字以上で、英字の大文字と小文字、そして数字が混在するものが推奨され、さらに記号を含めることを求めるサービスもある。

 同じパスワードを使い回すのは危険なので、サービスごとにパスワードを作ることが望ましい。ところが、ランダムにパスワードを作ってしまうと、今度は自分が覚えていられなくなる。

 そのため、筆者は独自のルールを設けて、暗記をしなくてもパスワードが思い出せるような仕組みを考え出し、利用してきた。しかし、AppleがApple ID(現Appleアカウント)を利用してログインできる「Sign in with Apple」(日本語表記では「Appleでサインイン」)を公開してからは、対応するサイトやサービスではもっぱらそれを利用するようになった。

 Sign in with Appleは、Googleが提供する「Sign in with Google」と似ているが、サイトやサービスごとに強力なパスワードに加えてランダムなメールアドレスを自動生成するオプション機能があり、これを活用すると本来のアドレスを相手に知られずに済むという大きな特徴がある。広く普及しているSign in with Googleは、消費者がどのようなサイトやサービスに興味を持っているかをGoogleが把握することができ、広告表示などに利用される恐れがあると考えているため、個人的には極力使わないようにしている。