新オフィスがR&D人材の採用面でもプラスに作用――株式会社クボタ

 関西圏5ヵ所に点在していた研究拠点を大阪府堺市に集約した株式会社クボタのグローバル技術研究所。現在は、広大な敷地に新築した設計研究棟で約3000人が働いている。その設計研究棟のオフィス構築(*2)は、内田洋行が構築を支援した代表的な事例だ。

*2 2022年に完成し、第36回日経ニューオフィス賞を受賞。

髙橋 株式会社クボタ様のオフィスは、約3000人が勤務できる奥行き180メートルの広大な執務空間が特徴です。

 R&Dとしての働きやすさを優先して設計者は固定席運用にしました。たくさんのメンバーとできるだけ出会えるように、部屋を仕切らず、ワンプレートでデザインされています。同じフロアに打ち合わせスペースやオンライン会議のできる個室ブースもあり、ソロワークにもチームワークにも対応できるようになっています。コミュニケーションスペースがある上のフロアから執務フロア全体を見渡すことができるため、社員同士が働いている姿を見て、仕事の一体感が生まれることも期待できます。他部署との連携に壁ができがちなR&Dにおいて、人と人の顔合わせを重視したことが成功の要因だといえるでしょう。

 拠点を集約したことによって、開発工程の効率化が図られ、よりよい商品づくりがなされている。製品企画→設計→試作→調達→耐久試験の開発サイクルに合わせた施設ゾーニングが行われた。開発活動の大きな流れは、設計部門が中心となる製品企画や設計の業務から始まり、研究部門による様々な試作の製作、調達部門による製造に必要な製造部品の調達、圃場や台上試験を利用した耐久試験、といった各開発活動の連関が開発スピードの向上には必要である。これらの開発サイクルを施設ゾーニングに反映することで、人・車両の移動と時間の無駄をなくし、高効率な開発活動が可能となった。結果、R&Dの人材難の時代に関わらず、採用活動が成功していると思われる。

髙橋 採用活動が活発化し、人員が増えたことで、新たな執務エリアの効率化に取り組まれていると伺っております。

 また、R&Dの方々にあわせて設計業務に取り組みやすいようにデスクトップPCのモニターやオフィス照明の微妙な明るさを調整できるような機器を活用しながらフリーアドレスの環境を検討していきます。R&D業務で働く人に寄り添っていくようなオフィス環境の重要性がますます高まっていくと考えており、日本のものづくり産業の発展に繋げていきたいですね。