中国「株」は独り負け
習近平も景気刺激策に本腰

 中国経済がかなり悪化していることは、8月の主要な経済指標を見るとよく分かる。新築住宅価格は前年同月比5.3%下落した。また、不動産投資も同10.2%減少した。不動産バブル崩壊の後遺症は深刻だ。

 中国株の「独り負け」も明らかである。本土の株式市場では、主要先進国と対照的に株式インデックスが下落傾向だ。9月23日までの1年間、世界全体で株価は約24%上昇し、新興国株も約13%上昇した。それに対し、上海総合指数は約12%下落した。香港に上場する不動産関連銘柄に至っては約19%と下げがきつい(ハンセン不動産指数)。

 9月中旬、甘粛省を視察した習近平国家主席は同省の幹部に対し、「工業化を積極的に推進して生産活動の押し上げを図れ」という訓示を行った。その直後から、中国政府の景気刺激策の拡充に関する報道が増えている。

 不動産分野では、住宅市場のテコ入れのため、大都市の戸籍を持たない人に住宅購入を認めるよう規制緩和を進めるようだ。加えて、2軒目の住宅取得時に頭金を引き下げる、住宅ローン金利を優遇する措置も検討対象になっている。

 金融政策に関しても、複数の緩和策を実施している。9月23日、中国人民銀行は短期政策金利の一つを引き下げ、翌24日には住宅ローン金利などの引き下げも表明した。一連の発表後に会見を開いた潘功勝総裁は、「商業銀行に積極的に融資を増やすよう促す」と述べた。金融政策の発表後に中国人民銀行総裁が会見を開くのは異例のことだ。それだけ政府内部で先々の景気に対する危機感が高まっているのだろう。