ところがそんな場面で、ホームランを打ってダイヤモンドを一周する相手バッターに対し、塾高ベンチから拍手が送られたのです。
追い上げを受けているにもかかわらず、なぜ拍手を?――相手チームにとって異様な光景に映ったのではないでしょうか。
実は、こういった言動の数々は、彼らなりの考えに基づくものでした。北陸との試合終了後、キャプテンの大村昊澄選手は、取材に対してこう答えています。
「新チームが始まってから、相手をリスペクトしようと言っていて、ホームランに限らず、良いプレーがあれば野球人としてたたえようという話をしていました」(神奈川新聞「異様な雰囲気の9回、対戦相手のホームランに送った拍手」2023年8月13日)
また、チームのムードメーカーである安達英輝選手も、複数のメディアに対して次のように明かしています。
「対戦相手からすると、『なんで?』と思われるような前向きな言動を意識的にとっていました。たとえば、ホームランやファインプレーのときに拍手をする。試合開始直後に初めて、相手ベンチ前を通る際にはきちんと立ち止まって深くお辞儀をする。普通のチームでは行わないような行動をとっていました」