「日本一」めざして導入した
メンタルトレーニング

 彼らのこういった考えや行動は、どのように醸成されていったのでしょうか。

「吉岡さん、日本一を一緒に目指しましょう!」

 甲子園での歓喜の瞬間からさかのぼること約2年前。塾高野球部より先に私に声をかけてくれたのは、慶應義塾体育会野球部(慶應義塾大学野球部)の堀井哲也監督でした。

 2020年の東京六大学野球秋季リーグ戦。慶應義塾大学(以下、「慶大」と記す)は宿敵・早稲田と直接対決の時を迎えていました。優勝まで「あと1アウト」というその場面で、痛恨の2ランホームランを浴びてしまい、まさかの逆転負け。手が届きかけていた優勝を早稲田に奪われてしまいます

 優勝まで、本当にあと一歩。その「あと一歩」を埋めるためにはメンタル面での強化が必要と考えた堀井監督が、人財育成とメンタルサポート事業を行っている私に声をかけてくれたのです。