「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の発売に合わせ、安藤氏に本書のエッセンスを解説していただいた。(構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)
「絶対に成長しない人」の特徴とは?
安藤広大(以下、安藤) 私の考える「パーフェクトな意思決定」とは、確固たる意思を貫くこともあれば、ときには環境に応じて考えを柔軟に変えられる「しなやかなスタンス」による意思決定です。
たとえば、新しく始めた事業が「うまくいっていない」という報告を受けたとします。こうした都合の悪い情報が耳に入ると精神的にこたえますし、もしこれが自分の肝いり事業であれば、報告してきた相手に反感を覚えるかもしれません。
しかし、ビジネスパーソンとして成長するのは、ネガティブな情報にきちんと向き合って、自らのミスや間違いを正せる人です。逆に、失敗を認めようとしなかったり、ほかの人のせいにしたりする人は、いつまでたっても成果を挙げることはできません。
このことは、日々部下の仕事を見ている管理職の方なら、確実に腹落ちする瞬間があるかと思います。ミスを隠そうとする部下は、決して成長しません。もちろん、同じことは管理職自身にも当てはまります。
また、前言撤回を恐れて、「自分の決定は絶対に正しかったはずだ」と妄信してしまう人がいますが、状況に応じて意思決定の中身を変えるのはごく当たり前のことです。
なので、ある意思決定や判断が間違っていたとわかったら、何がいけなかったのかを徹底的に分析して、いち早く修正を行いましょう。
「一度目の失敗を許容する」風土が不可欠
安藤 もちろん、最初に下した意思決定が正しくて、それによってプロジェクトが軌道に乗るのが理想的です。
しかし、もし間違っていても、意思決定の時点で「仮説」を立てていれば、「いつ」「何を」「どのように」間違ったのかを検証することができます。そして、検証で明らかになったボトルネックを修正すれば、成果を出せるようになります。
つまり、ある意思決定が正解でも間違いでも、「仮説」をしっかり持っておけば、最終的には成功にたどり着けるということです。こう考えると、思い切って行動することの「心理的ハードル」がだいぶ下がるのではないでしょうか。
また、行動のハードルを下げるには、組織として「一度目の失敗を許容する」という風土をつくることも必要です。特に、リーダーがそうした姿勢を積極的に示さないといけません。
たとえば、もし部下が失敗したら、その部下を責めるのではなく、「次はどうする?」と修正を促す声がけをしましょう。そうすると、「失敗するのは悪いことじゃないんだ」という認識が組織に広がり、新しいことにチャレンジしやすい風潮が生まれます。
ただし、同じ失敗を二度するのはNGです。なぜなら、一度起きたミスを繰り返すのは、シンプルに「無駄」な行為だからです。「一度目の失敗を許容する」という風土をつくるだけでなく、失敗したときに「成功しなかった理由」を分析して、必ずそれを修正することを徹底する必要があります。
(本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏の特別講義をもとに構成したものです)
株式会社識学 代表取締役社長。
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。