「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の発売に合わせ、安藤氏に本書のエッセンスを解説していただいた。(構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)
職場の人にすぐ嫌われる「社会人としてNGな発言」とは?
安藤広大(以下、安藤) 前回の記事で、意思決定においては「決定後の修正を恐れず、迅速に決めること」が重要だと述べました。
これを現場で実践するには、組織として「個人の失敗を責めない土壌」ができていないといけません。具体的には、「過去の意思決定が正しいとはかぎらない」「状況しだいで朝令暮改が起きるのは当然だ」という共通認識を全員が持っておく必要があります。
また、「過去の言動との矛盾」を指摘する発言はしないように注意しましょう。というのは、そうした指摘を一度でも受けると、意見を出したり積極的に意思決定したりすることの心理的ハードルが上がり、職場の空気が一気に閉塞的になってしまうからです。
ネットには、過去と現在の言動の矛盾を指摘するのが「正義」だと思っている人がたくさんいますが、個人の見解が時間の経過とともに変わるのは当然です。なぜなら、判断のよりどころとなる知識や経験値は常にアップデートされますし、そもそも意思決定というのは「その時点での環境」においてベストを尽くすものだからです。
環境の変化に応じて修正した意思決定を「過去の決定との食い違い」を理由にあげつらうような人は、社会人としてNGですし、自分だけ気持ちよくなっていて自覚がないかもしれませんが、確実に周りから嫌われます。
情報収集に時間をかけすぎるな
安藤 意思決定のための情報収集にやたらと時間をかける人がいますが、そのようなふるまいは即刻やめて「行動」に移すべきです。さもないと、「意思決定→行動→失敗→修正→成功」のサイクルが機能せず、ライバルに後れを取ってしまうからです。
これは、「部屋探し」を例にするとわかりやすいはずです。築年数・広さ・駅徒歩時間・賃料など、自分の希望をすべて満たす物件を探そうとすると、なかなか決めきれずに時間だけが過ぎてしまいますよね。
スムーズに引っ越すためには、どうしても譲れない「最優先条件」を自分で洗い出して、少なくともそれらを満たす物件でいったん妥協する必要があります。その後に、もっといい条件の部屋が見つかれば、もう一度引っ越せばいい話です。
これを意思決定に当てはめると、すべての検討材料が揃わなくても、いったん「その時点におけるベストな決断」をすばやく下して行動に移す。そして、より優れた選択肢が浮上したら、そのつど試してみればいいという話になるわけです。
「情報が揃わないと判断できない」は思い込み
安藤 ちなみに、「すばやく意思決定する=何も考えずに動き出す」ということではありません。限られた時間の中で徹底的に論理的に考えて、それでも詰めきれない部分については、いったん意思決定して、行動に移してから検証するという姿勢が必要です。
もちろん、論理的な思考にもとづく意思決定も、間違っている可能性はあります。だからこそ、より早く間違いを正して、成功にたどり着くために「決定後の修正を恐れず、迅速に決める」ことが鉄則になります。
とにかく、「情報がすべて手に入らないと判断できない」という思い込みが、いまだにビジネスの現場にはびこっています。ライバルに先がけて成果を上げるには、仮説を立てるなり、妥協点を見出すなりして、いち早く行動することがもっとも重要です。
(本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏の特別講義をもとに構成したものです)
株式会社識学 代表取締役社長。
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。