ゼオンメディカルが医師に1億円超バラマキ、製薬業界に周回遅れで医療機器の不祥事が相次ぐ理由写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 医療機器業公正取引協議会が8月26日、中堅の医療機器メーカー「ゼオンメディカル」(東京)に対して厳重警告の処分を下した。同社をめぐっては昨年9月、警視庁がステント製品を使った見返りに現金170万円を受け取ったとし、収賄容疑で国立がん研究センター東病院の元肝胆膵内科医長の橋本裕輔医師を、贈賄容疑で同社の柳田昇元社長を逮捕。その後の同社や公取協の調べにより、1億円を超えるカネが全国の医師・病院にばら撒かれていた実態が判明した。カネを貰っていた医師は37人で、うち国立大学や公的病院に勤める「みなし公務員」が逮捕者を含めて5人いた。

 公取協の関尾順市専務理事は「公務員とみなし公務員の医師5人が関わった医療機関は10施設あり、うち大学が2施設あった。18~22年で延べ65件、総額は2000万円にのぼる。みなし公務員のため収賄にあたる疑いがある」と指摘する。医療機器業界ではここ3年間、重大な規約違反事例が相次ぐ。背景には業界の古い商慣習と医師の懐事情がある。