子ども写真はイメージです Photo:PIXTA

親の成功体験が子どもを不幸に陥れる!?生成AIの台頭により5年後には今ある職業の2割が消えると言われる時代、親は何を目指して子どもを育てればいいのか。そして本当の「頭のよさ」とは――。子どもの未来への不安を払拭する、きれいごと抜きの実践的子育てを提言。本稿は、富永雄輔『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

未来の予測が困難で
「正解」が見えない時代

 私が経営している塾の子どもたちを見ていると、幼いなりに彼らは「変わりゆく世界」にしっかりついて行っています。特別な説明を受けるまでもなく、彼らにとって世の中はどんどん変化するのが当たり前であって、確実なものなどありません。

 現に、今の時代についてVUCA(ブーカ)という言葉で語られるのを聞いたことのある人も多いでしょう。VUCAは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字。変化が目まぐるしく、未来の予測が困難で、「正解」の見えない時代であることを、一言で表しています。

 問題は親世代です。

 世の中は変化することを理解しつつも、「だからこそ、変化に負けない確実な職業を」などと考えている人が多いのです。

 とくに、50歳近くともなると、弁護士だったり、公認会計士だったり、大企業の役員クラスに上り詰めているような人だったりは、同窓会に行けば「確実な仕事に就いている成功者」として扱われているはずです。つまり、遠からずAIに淘汰されてしまう職業にもかかわらず、いまだに「価値のある仕事」と思っているし、思われているわけです。