笠置は前年に娘を出産したばかりだが、すでにスターの“オーラ”がたっぷりで、この時期が人生で最も美しい時期だったのではないかと思わせるほど魅力的だ。ひばりは髪にリボン、顔にはお化粧を施し、イヤリングやネックレス、コサージュ、ブレスレットをつけ、フリルのついたワンピースを着るなど精いっぱいおしゃれをしていて(ちょっと頑張りすぎ?)、楽しそうだ。
だが、そんな一瞬を捉えたこの1枚の写真(撮影者不明)はこれ以外、今日まで保存されている新聞雑誌その他、膨大な美空ひばりや芸能関係資料のどこにも見当たらず、ほとんど幻のスナップとなったのである。
詳しい時期は不明だが(1950年以降と思われる)、笠置は服部良一に、「センセー、子どもと動物には勝てまへんなあ」と語ったと、のちに服部は自伝で書いている。間接的ではあるが、笠置がひばりについて語ったと思われる言葉は唯一、これだけである。
「私のブギを歌うな」という
笠置からのクレームの真相
世紀の大スターが誕生するとき、必ずといっていいほど伝説が生まれる。伝説は多くの場合、長い時間の中で虚実が入り混じることもあるから要注意だ。