したがって、設置にかかる総費用(パネルが供給する直流電流1ワット当たりにかかるドル)は、2010年から2015年にかけては55%の減少、2015年から2020年にかけては20%の減少と、あきらかに改善率が低下している。さらに、こうしたコストには、発電全体に占める不安定な発電(太陽光や風力)の割合増加によって必要になる追加経費は含まれていない。
不安定電源をバックアップするための
莫大なコストは誰が負担するのか
長時間にわたる電力不足や電力供給の中断を防ぐには、こうした不安定な発電方式をいざというときに頼れる蓄電でバックアップするしかない。あるいは、太陽光や風力の発電に依存する地域が一時的な曇りや長期にわたって風が吹かない状態が続いた場合、影響を受けない地域から電力供給を受けるための信頼できる長距離高圧送電線が必要となる。
しかし、この電力供給システム全体のコストは低下しておらず、大規模な送電網の確保に必要な長距離高圧送電線の建設は、欧米でも計画より遅れている。それに太陽光パネルの実質的なコストには、本来であれば解体や廃棄の費用、できればリサイクルの費用も含めるべきだろう。