バーツラフ・シュミル
「2050年に地球温暖化による破局が来る!」と怯える前に、酸素と水と食料の現実の話をしよう
「アマゾンの熱帯雨林が減ると酸素供給が減る!」。かつてフランスのマクロン大統領はこう叫んで人々を脅したが、これはまったく科学的な態度ではなかった。アマゾン以上に、「2050年の地球温暖化の危機」は、環境問題に取り組む政治家たちにとってホットなテーマだが、マクロン同様に科学は脇に押しのけられている。実際のところ温暖化の進展は、人類の生存に不可欠な酸素・水・食料の供給にどう影響するのか、これらの問題を横断的に研究している専門家が解説する。※本稿は、バーツラフ・シュミル著、柴田裕之訳『世界の本当の仕組み エネルギー、食料、材料、グローバル化、リスク、環境、そして未来』(草思社)の一部を抜粋・編集したものです。

脱炭素化が深刻な食糧危機をもたらす?温暖化対策の“大きすぎる代償”
環境問題に敏感な政治家や財界人は、「脱炭素」を強力に推進している。地球温暖化に立ち向かうためなら、多少の不便や出費には目をつぶるというのが彼らのスタンスだ。だが、安くて美味しい食料生産は炭素エネルギーのおかげだという現実を知ったとき、人々はまだ彼らの言葉にうなずいていられるだろうか。※本稿は、バーツラフ・シュミル著、柴田裕之訳『世界の本当の仕組み エネルギー、食料、材料、グローバル化、リスク、環境、そして未来』(草思社)の一部を抜粋・編集したものです。

脱炭素運動を楽しめるのは金持ちだけ?ドイツの再エネ転換がなかなか進まない当然の理由
「脱炭素社会」のかけ声のもと、世界中で政財官の多くの面々が突っ走っている。だが、もっとも先鋭的なドイツでさえ、20年にわたった「エネルギー革命」の成果はお寒い限りで、いまだに化石燃料を大量に燃やしている。それもそのはず、現代文明を維持する4本柱「セメント、鋼鉄、プラスティック、アンモニア」の生産において、脱炭素化のメドはほぼ立っていないのだ。※本稿は、バーツラフ・シュミル著、柴田裕之訳『世界の本当の仕組み エネルギー、食料、材料、グローバル化、リスク、環境、そして未来』(草思社)の一部を抜粋・編集したものです。

「2050年までにCO2排出量ゼロ」という目標の達成が絶対不可能な理由【素人でもわかる】
日本でも毎年のように酷暑が続く中、地球温暖化を身近に感じている人も多いだろう。国際社会も、脱炭素化目標を決め問題解決に向けて前進しているように見えるが、現在までの削減ペースを見る限り、「2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を正味ゼロにする」という目標の達成など不可能に近い。地球温暖化の核心部を、世界レベルの“知の巨人”バーツラフ・シュミルが解説する。本稿はバーツラフ・シュミル著、栗木さつき訳『Invention and Innovation』の一部を抜粋・編集したものです。

太陽光&風力発電で未来はバラ色?→そんなわけない!再エネ楽観主義者の致命的な「見落とし」とは
CO2排出量削減の切り札と称し、環境活動家たちが推進してきた「再生可能エネルギー」。昨今では多くの政財界人もブームに飛び乗っており、彼らの多くは太陽光発電や風力発電にともなって発生する巨額のコストを知らない。あるいは知っていても、これからの技術革新でカバーできるとうそぶくのだ。世界中を踊らせているウソの真相を、“知の巨人”が容赦なく暴く。本稿はバーツラフ・シュミル著、栗木さつき訳『Invention and Innovation』の一部を抜粋・編集したものです。
