しかし正解率はどうだったか。なんと高校生の3分の1が間違えたのである。しかもそれは進学校の生徒たちだ。日本人の日本語力は絶望的に低いのである。

意思の決定と表明を論理ではなく
感情でおこなってしまう

 笑い事ではない。この調子だと日本ではまともな議論が成立しなくなる。

 原子力発電所の再稼働は必要か?不要か?原発再稼働をめぐる問題は国民みんなで議論すべき重大なテーマだ。しかしかりに国民の3人に1人が読解力不足であれば、生産的な議論を尽くすのは難しいだろう。

 文章を正しく理解できないということは、さまざまな情報を正しくインプットできないということだ。情報を正しくインプットできないのなら論理的思考は不可能である。

 するとどうなるのか。意思決定、意思表明を論理ではなく、感情で行ってしまうのだ。自分の頭で考えず、好きなインフルエンサーの意見を鵜呑みにしてしまう。そうやってあらゆる事柄をなんとなく判断していく。極めて危険である。

 しかしそれがいまの日本の現状なのだろう。世論は感情や印象でつくられ、その世論が政治家を選ぶ。政治家は政治家で世論に迎合して本質的な議論を避ける。決断を先送りするわけだ。