ところが、彼らは何かあると「財源がないので無理です」と言うばかり。国民のために働こうとするのではなく、自分たちの行動原理を最優先させることに終始している様を見ると、本当に賢いのか甚だ疑問です。

 私が明石市長に就任した2011年当初、市の財政担当者から「市の貯金(基金)は5年後に底を尽きます」と言われてとても驚いたのを覚えています。2010年度末の基金残高は約70億円でした。

 財政当局の中長期予測によると、これが5年後には尽きるといいます。それを聞いて私も「明石市はこのままだと潰れてしまうんだ」と本当に思いました。

 しかし、市民に寄り添った政策を続けていった結果、5年でなくなると言われた基金を2021年度決算で約121億円に増やすことができました。あのとき、財政担当が私に言ってきたのはある意味「あなたの好き勝手にはやらせない」という脅しにも似た意思表明だったのかもしれません。

 国も自治体も、財政当局は危機を煽り、最悪のパターンを予測しながらもムダ遣いが続くことを前提に予算を組みます。要するにうまくいけば自分たちの手柄、失敗しても責任は問われないという、どっちに転んでも負けないやり方が常套手段なのです。