根気強くひとつのことを考えられない、寝ても疲れが取れない、歩くのが遅くなった……。「老い」は気付かぬうちに少しずつあなたを蝕んでいく。老いを少しでも遅くしたいと願わない人などいないだろう。そこで、食事術や生活習慣といった「不老術」をアメリカの名医がまとめた本が誕生、NYタイムズベストセラーに選ばれ、エリック・シュミットといった数多くの著名人から絶賛を受けている。世界9カ国以上で刊行の話題作『医者が教える最強の不老術』より、内容の一部を編集して特別に公開する。

【アメリカの名医が教える】「腸」を最適化する10のステップPhoto: Adobe Stock

悪玉菌を取り除き、善玉菌に栄養を与えればいい

 内なる庭の手入れをすること、つまり腸を癒やすことは、多くの人々にとって健康を取り戻す道となる。健全な腸は健康的な加齢と長寿に不可欠だ。実際、私が患者の治療を行う際にも、多くの場合、腸の治療から始めている。

 腸を治すにはどうすればいいのだろうか? 基本的なステップを紹介しよう。私はこのステップを「雑草除去、種まき、施肥のプログラム」と好んで呼んでいる。つまり、悪玉菌を取り除き、プロバイオティクスの種をまき、善玉菌に栄養を与えて腸内環境を回復させ、リーキーガットを修復するのだ。

ステップ1 アレルゲンとなる可能性のある食物や炎症を起こす可能性のある食物を除く。これは通常、除外食と呼ばれる食事法だ。主な犯人はグルテン、乳製品、糖分、アルコール。次いで、穀類、豆類も多くの人にとって問題だ。食品添加物、特に乳化剤や増粘剤、糖アルコール、人工甘味料は最悪だ。

ステップ2 腸を刺激する薬をやめる。これらには、イブプロフェンやアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗生剤、ステロイド剤、アシッドブロッカー薬などが含まれる。これらの薬は、短期的な症状の緩和にはときおり必要となることがあるが、長期的に服用すべきではない。

ステップ3 寄生虫や悪玉菌・イースト菌の過剰繁殖について検査および治療を行う。詳しくは本書『医者が教える最強の不老術』第13章を参照。

ステップ4 消化酵素を補給する。消化酵素の錠剤やカプセルを服用しよう。

ステップ5 プレバイオティクス[腸内の有用菌の働きを助ける物質]のサプリメントを摂取し、プレバイオティクス食品を食べる。プランテーン[甘くない料理用バナナ]、アーティチョーク、アスパラガス、海藻、ヒーカマ[中米原産のクズイモ]、タンポポの若菜、タマネギ、ラディッキオ[トレビス]などを食べよう。

ステップ6 プロバイオティクス[身体によい影響を与える善玉菌およびそれらを含む食品や製剤]でマイクロバイオームをサポートする。腸の健康と病気治療のさまざまな面をサポートする重要なプロバイオティクスは多々ある。プロバイオティクスの選択肢についてはyoungforeverbook.com/resourcesを参照されたい。また、味噌、納豆、テンペ、キムチ、ザワークラウト、ヨーグルト、ピクルスなどのプロバイオティクス食品の摂取量を増やすことにも効果がある。

ステップ7 ポリフェノールの摂取を増やす。マイクロバイオームをサポートする代表的なポリフェノールには、ザクロ、クランベリー、緑茶、クルクミン、オリーブオイル、ウチワサボテンなどがあるが、カラフルな植物性食品にはみなポリフェノールが豊富に含まれている。

ステップ8 ウシの免疫グロブリン(ウシの初乳に含まれる)の摂取を検討する。この目的は、腸の治癒をサポートするため。乳製品を使わない製品も入手可能だ。

ステップ9 「ガットフード(Gut Food)」を試す。これは、健康的なマイクロバイオームを長期的にサポートするために私が開発したもので、高度に研究されたプロバイオティクス、プレバイオティクス、ポリフェノールを含んでいる(gutfood.comを参照されたい)。[2024年10月現在、日本での販売不可]

ステップ10 便微生物移植(FMT)は、多くの疾患の治療や、加齢が進むにつれて健康なマイクロバイオームを維持するために、近い将来日常的に行われるようになるかもしれない。だが、この治療法を安全かつ効果的に行うには、まだ多くの研究が必要だ。

(本原稿は、『医者が教える最強の不老術』から一部を抜粋し編集しています)