根気強くひとつのことを考えられない、寝ても疲れが取れない、歩くのが遅くなった……。「老い」は気付かぬうちに少しずつあなたを蝕んでいく。老いを少しでも遅くしたいと願わない人などいないだろう。そこで、食事術や生活習慣といった「不老術」をアメリカの名医がまとめた本が誕生、NYタイムズベストセラーに選ばれ、エリック・シュミットといった数多くの著名人から絶賛を受けている。世界9カ国以上で刊行の話題作『医者が教える最強の不老術』より、内容の一部を編集して特別に公開する。
カロリー制限は
健康や長寿にとって「確実」に良い
長寿科学分野において確実に証明されている現象の1つは、食べるカロリーを減らして体内で飢餓反応を引き起こすと、健康や長寿に長期的かつ大きな効果が生まれることだ(*1)。
空腹で惨めな思いをしたり、筋肉や骨密度を減らしたり、性ホルモンや性欲が減退したり、傷の治りが遅くなったりすることなく、長期的にカロリー制限をハックする方法を求めるなかで、科学者たちはローマへの道をたくさん見つけてきた[「すべての道はローマに通ず」より。同じ目的を遂げる方法はさまざまある、という意味]。
ありがたいことに、飢えなくてもカロリー制限が真似できる方法は存在する。このあと、長寿経路を活性化するための方法をいくつか紹介しよう。リストの順は、最もシンプルで実行しやすいものから、より高度な戦略へと並べられている。まずは、食事時間制限食から始めて、自分に合う他の方法を試してみるとよいだろう。
食べ方1 食事時間制限食
食事時間制限食とは、食物を摂る時間を1日のうち、8~12時間に制限するダイエット法だ。健康状態や体重に応じて、毎日行ったり、週に3、4回行ったりすることができる。たとえば、午後7時に夕食を済ませ、午前9時に朝食を摂れば、14時間のファスティングになる。1日のうちの夕食から次の日の朝食までのあいだは、少なくとも12時間のファスティング間隔をとろう。
食べ方2 間欠的ファスティング
24時間から36時間に及ぶ間欠的ファスティング、あるいはときおり、3日間から1週間に及ぶ定期的なファスティングを行うのも、もう1つの選択肢だ。週1回、24時間のファスティングを行うだけでも、ディープクリーニング機能を活性化させることができる。
食べ方3 断食を模した食事法
長寿研究の第1人者である南カリフォルニア大学のドクター・ヴァルター・ロンゴは、断食を模した食事療法(*2)を開発し、動物モデルでの延命、およびヒトでの体重減少、インスリン抵抗性、コレステロールなどに効果があることを示した(*3)。
これは、1日800キロカロリーの食事法を5日間にわたって続けるもので、1ヵ月に1度、または四半期ごとに1度行う。詳しくはプロロンFMDのウェブサイト(prolonfmd.com)を参照されたい。
食べ方4 ケトジェニック食事法
長寿経路を活性化させる可能性を秘めたもう1つの方法は、ケトジェニック食事法だ。これは、脂質70~75%、タンパク質20~25%、炭水化物5%からなる食事法である。
インスリン抵抗性のある人(アメリカ人の約10人に9人)は、短期間あるいは長期間、ケトジェニック食事法を実践することによって、代謝機能障害から速やかに回復し、コレステロール値を改善させることができる。
*1 Dorling JL, Martin CK, Redman LM. “Calorie Restriction for Enhanced Longevity: The Role of Novel Dietary Strategies in the Present Obesogenic Environment.” Ageing Res Rev. 2020 Dec;64:101038.
*2 Brandhorst S, Longo VD. “Protein Quantity and Source, Fasting-Mimicking Diets, and Longevity.” Adv Nutr. 2019 Nov 1;10(Suppl 4):S340-S350.
*3 Wei M, Longo VD, et. al. “Fasting-Mimicking Diet and Markers/Risk Factors for Aging, Diabetes, Cancer, and Cardiovascular Disease.” Sci Transl Med. 2017 Feb 15;9(377):eaai8700.
(本原稿は、『医者が教える最強の不老術』から一部を抜粋し編集しています)