「君はパリジェンヌでありながら、日本人だ。それは貴重なことだ」
「スポンと抜けたわね!」
その話をした時、アネゴはとても喜んでくれました。ヴィーのビストロで一緒にランチをしていた時の話です。
「なんかフワフワして頼りなかったけど、ちょっとは腰が据わってきたんじゃない?」
ヴィーは彼なりの褒め言葉を投げかけてくれます。
「君はパリジェンヌでありながら、日本人だ。それは貴重なことだ」
そう指摘してくれた社長のおかげで、私は自分の「軸」のようなモノを見つけることが出来たのです。自分という人間の大黒柱、と言った方がよいかもしれません。
自分なりの生き方を貫いているパリジェンヌにたった一つ、共通していること
それは、日本国籍があるとか、日本語ができるとか、そういう次元の話ではありません。私の大黒柱とは、日本人として生まれ育った自分の感性や価値観です。世界のどこにいても、どんな環境に置かれても、どんな人生を送っていても決してブレることがない、私だけの個性です。外国で暮らしている私がもっとも誇りに思うモノです。
自分なりの生き方を貫いているパリジェンヌにたった一つ、共通していることがあるとすれば、それはこの大黒柱がしっかりしているということです。自分だけの揺るぎない個性を持っていることです。そんな彼女達は胸を張って我が道を歩いています。
自分の大黒柱、見つけてください。それは自分の中にあるモノです。自分がこれまで培ってきた大切なモノです。そして、人の目には明らかでも、自分では案外見えていないモノです。
見つけ方は人それぞれです。仕事を通じて見つける人。私のようにメンターの助けを得て見つける人。家業を通じて見つける人。子育てをしながら見つける人。人付き合いや趣味、スポーツを通じて見つける人もあるかもしれません。
大黒柱がしっかりしている家は、多少のことでは崩れません。自分も然りです。
※本稿は『パリジェンヌはすっぴんがお好き』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。