21世紀に入った2002年、マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズム(自己愛)という3つの性格特性に注目し、これら共通する要素をもつ3つをダーク・トライアドとまとめて呼ぶことを提唱する論文が公刊されます。

 この論文の執筆者の1人が、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のデル・ポールハス教授です。それ以前まで、これら3つの性格特性は個別に研究されていました。

性格が良いか悪いかは
性格の内容では決まらない?

 私自身、1990年代の学生時代からナルシシズムについて研究をした経験をもちますが、マキャベリアニズムやサイコパシーについては、それぞれの研究について目にしたことはあるものの、一緒に研究しようという考えは浮かびませんでした。

 それぞれの性格特性は、それぞれが独自の研究の歴史をもちます。

 ナルシシズムを研究していた当時は、その概念の中で研究をしており、他の概念と一緒に組み合わせて研究をしようとは思わなかったのではないかと、当時を思い出します。

 ポールハスが提唱したダーク・トライアドは、それぞれの中で行われていた研究について扉を開け、相互に結びつけるような役割を担うこととなりました。

 ポジティブな心理学的側面やよい性格への注目とダークで悪い性格への注目は、まるで合わせ鏡のような存在です。