一方で、ポジティブ心理学のムーブメントは、明らかにポジティブで望ましい心理特性やよい性格というものを正面から研究として取り上げるハードルを下げる効果をもたらしたと言えます。

 将来のポジティブな結果を期待する「楽観性」、ネガティブな出来事を経験して落ち込んだ状態からうまく回復する「レジリエンス」、人間関係や自然やさまざまなことに対して抱く「感謝」、物事をやりぬく力となる「グリット」、自分自身にポジティブな感覚を抱く「自尊感情」、自分を受け入れる「自己受容」、瞑想状態になりストレスを緩和する「マインドフルネス」、人生や生活について満足する程度である「人生満足度」や「生活満足度」、心身共に満たされたれた状態である「ウェルビーイング」など、ポジティブ心理学のムーブメントの中で発展してきた研究テーマは非常に数多くのものがあります。

 ダーク・トライアドは、このポジティブ心理学のムーブメントの裏面にあたるような存在です。

 ポジティブ心理学の広まりとともに、より「望ましい」とされる心理特性やよい性格を大きく取り上げる機会が広がっていきました。その流れに呼応するように、より「望ましくない」、より「悪い」と考えられる性格特性そのものを研究することについても、抵抗感が薄れていった印象があります。