「ダークな性格」の3つ分類…サイコパス、ナルシシスト、あと1つは?写真はイメージです Photo:PIXTA

「よい性格とは何ですか」「悪い性格とは何ですか」。心理学の教授を務める小塩真司氏は、生徒たちからそんな質問をよく受けるという。果たして、その質問に“答え”はあるのだろうか。近年、心理学の領域で注目されている、ダークで悪い性格を解き明かす「ダーク・トライアド」の研究を軸に筆者が解説する。※本稿は、小塩真司氏『「性格が悪い」とはどういうことか――ダークサイドの心理学』(ちくま新書)の一部を抜粋・編集したものです。

人間のポジティブな側面に
心理学の関心が移ってきた

 1990年代なかば以降、ポジティブ心理学が注目されるようになりました。心理学の関心の中心が、精神的な病理や人間の弱さなどネガティブな側面から、人間の強さや美徳などポジティブな側面へと移っていく大きな流れが生じたのです。

 もちろん、抑うつや不安、薬物乱用、統合失調症など多くの問題から目をそらしたわけではありません。予防という観点から、問題を事前に防ぐさまざまなポジティブな意味をもつ心理的側面を高めていくことに注目が集まり、その効果が確認されてきたのです。

 1990年にポジティブ心理学が提唱されてから2021年までに発表された、ポジティブ心理学の文献の特徴を整理した研究があります。

 この研究によると、この間に世界96ヵ国・地域の研究者が5000本以上のポジティブ心理学に関連する研究論文を発表しており、2020年前後にはそれ以前よりもさらに多くの論文が発表されるようになっていました。

 30年あまりの間に、ポジティブ心理学は現在の心理学の中でひとつの大きな研究領域へと急速に発展してきたのです。