それなのになぜ、たった1回の失敗でこんな目に遭わなければならないのか――。

 あの頃は、そんなことばかり考えていた。

 さらには、ずっと私を支えてくれる味方だと思っていた人たちまでが、手のひらを返したようにネガティブキャンペーンをするようになった。

 すべてが怒り。周囲すべてが敵だった。

 悪いときには悪いことが重なるものだ。私のかけがえのない恩人であり恩師である、佐伯弘治学園長が急逝されたのだ。

 私が流経大柏高校ラグビー部の創部以来、同チームを日本でも有数の強豪に育て上げることができたのも、佐伯先生の叱咤激励あってのことなのだ。

 佐伯先生は私を心から信頼し、信用してくれた。その恩に報いたいという思いがあったからこそ頑張れた。

 だが、私が体罰問題について謝罪に伺った頃には、佐伯先生の容態は非常に悪化していた。

 病室も面会謝絶で、とうとうお目にかかることができなかった。

 恩返しをするどころか、謝罪さえできぬまま、佐伯先生は他界されてしまったのだ。

動揺した次女が高校受験に失敗
「私の人生を狂わせたのはお父さん」

 あの頃、自分が何をしていたのかを思い出そうとしても、まったく思い出せない。

 おそらく何もしていなかったのだろう。