なぜ相続税の滞納は発生するのか?
主な5つの原因とは
相続税が発生する相続人には、被相続人から引き継げる財産があるにもかかわらず、新規発生滞納額も滞納残高も増加している。なぜ相続税の滞納は発生するのだろうか。主な原因として、以下の5つがある。
1つ目は「現金の不足による納税難」。相続税は原則「現金」で納付する必要があるが、用意できなければ滞納になってしまう。納税のために金融機関から融資を受ける方法も考えられるが、融資を受けるまでには時間を要するため、納税が遅れる可能性もある。
2つ目は「相続財産の中で不動産の割合が高い」。相続財産に有価証券など換価しやすい財産が少なく、換価しにくい不動産が多い場合、高額の相続税が発生しているにもかかわらず、手元に納税資金を用意しにくい。
3つ目は「相続手続きの知識不足」。相続税の納付期限は「被相続人が死亡したことを知った日から10カ月以内」である。しかし、大切な家族が亡くなった後は葬儀や遺品整理などの手続きに追われ、時間があっという間に経過してしまう。知識不足から相続税申告の準備が遅れるケースも少なくない。
4つ目は「相続人間の対立」。遺産分割協議が難航すると、相続税の申告が遅れやすくなる。高額の相続財産がある場合や、被相続人を介護していた相続人とその他の相続人との間で不公平感が生じるケースでは、遺産分割協議がもめやすい。
5つ目は「申告を認識していない」。価値のある相続財産が少ないと思い込んでいたり、名義預金が相続税の対象となることを知らなかったりすると、自身が相続税申告の対象者であることを失念しがちだ。近年はネット銀行やネット証券の財産を見落とすケースもある。また、相続発生から過去7年以内の生前贈与も相続税の対象となるため、注意が必要だ。