坂爪 はい。有料にしてしまうと風営法で「性風俗関連特殊営業」(注3)と位置づけられてしまうんです。性風俗関連特殊営業には「広告を出してはいけない」などさまざまな規制があるために、サービスの継続が困難になってしまいます。そのため現在の運営費用は寄付金と他の事業収入で賄っています。

注3 性風俗関連特殊営業とは、都道府県公安委員会へ「性風俗関連特殊営業」として届出を出している事業者のこと。ソープランド、ファッションヘルス、デリバリーヘルスといった性的接触をするサービスや、ストリップ、出会い喫茶などといった店舗も同じく風営法という法律の規制の下での事業であり、さまざまな形態・業態を含んでいる。

大川 他の事業ではどんなことをされているのですか。

坂爪 障がい者の性に関する書籍を出版したり、研修や講演などを行ったりしています。専業スタッフは私だけですが、10~20人ほどのチームで事業を行っています。

大川 射精介助サービスをされるスタッフにはどんな方が多いのでしょうか。

坂爪 看護師や介護士の方が多いですね。エッセンシャルワーカーとして、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種は優先的に受けられています。

「ウチは風俗店ではありません」
射精介助スタッフの報酬額は?

大川 そうした方々にはどのくらいの報酬が支払われているのでしょうか。

坂爪 時給ベースで3300円です。実際のケアは30分前後で終わることが多いので、スタッフに支払うのは1回でだいたい2000円くらいですね。スタッフを派遣する際の交通費は利用者さんに負担をしてもらっています。

大川 エッセンシャルワーカーの現状としてはかなり厳しいですね。公的機関から補助金などは出ていないんでしょうか。