坂爪 そもそも日本では「障がい者の性介助」自体が理解されていないため、なかなか難しいと思います。社会的な議論を始めたくても、「本当に障がい者の性をケアする必要があるのか」というところから始めなければならないんです。誰がどこまでをどういう風にやるのかという問題もあります。これを標準化して社会的に共有することが私たちの仕事ですが、ものすごく難しいことだと感じています。
性の自由を保障する
介助はものすごく必要
大川 自分は脳性麻痺の方も知的障がいの方も、性欲は絶対にあると思っています。だから性の自由を保障するための介助(介護)はものすごく必要だと思うんです。性の介護を受けた利用者さんが幸せを感じたり、心のゆとりを持てるようになったりするケースも多々あるのではないでしょうか。
坂爪 そういった面は大きいですね。身体的にすっきりしたというだけではなく、「生きる気力が湧いてきた」というようなメンタル面での安心感・安定感を得ている方が多くいらっしゃいます。単に性欲を満たすだけではなく、自己肯定感や自尊感情を得るためのケアという側面もあると思います。
大川 自分に自信が持てるし、生きている実感を得られるということですよね。これは利用者さんだけでなく、社会的にも大きなメリットがあることだと思います。