もちろん、学校教育の中でも、色々な「体験」をする機会はある。しかし、それらに加えて、学校の外でもより豊富な「体験」をできる子がいる一方で、そうした機会がほとんど与えられない子たちもまたいるのだ。
今井悠介 著
生活困窮家庭や不登校の子ども・若者の支援事業を行うNPO法人TEDICの代表理事を務める鈴木平氏は、活動をする中で、「様々な困難を抱えている子どもにとって、学校の外で行ったキャンプやお出かけの思い出が、生きるうえでの心のよりどころになる」と感じてきたという。
一緒にキャンプに行った男の子は、数年経った今もそのときのことを楽しげに語ってくれる。昔の「楽しい思い出」が、しんどい日常に戻らなくてはいけないときにも、もう少しがんばってみようというエネルギーになると思う。
かつての「楽しい思い出」が、つらいことに直面したときに心の支えとなることがある。子どもだけではない。大人にとってもそうだろう。そんな思い出を「休日」の中で1つずつ、ゆっくりと積み重ねていけるかどうか。残念ながら、この社会の現実の中では、まだまだ「当たり前」から程遠い理想だ。