仕事がはかどらない男性写真はイメージです Photo:PIXTA

代表的な発達障害であるADHD(注意欠如多動性)とASD(自閉スペクトラム症)だが、特性や問題点は、それぞれかなり異なる。発達障害について理解を深め、適切な対応を工夫すれば、仕事や対人関係で生じる摩擦も減らせるはずだ。日常で生きづらさを抱える人に役立つテクニックを精神科医が伝授する。※本稿は、司馬理英子『もしかして発達障害?「うまくいかない」がラクになる』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

座っていても頭の中では
思考が常にウロウロソワソワ

 ADHDの特性は人によっていろいろですが、年齢とともにあらわれ方が変わります。ADHDといえば、教室内を立ち歩いたりする小学生をイメージしていませんか?これは「多動性」のあらわれです。年齢が上がるにつれ立ち歩きなどは減り、多動性は目立たなくなっていきます。

 けれどもそれで多動性がなくなったかというとそうではありません。大人になって物理的な体の動きが収まってきても、多動性の強い人は頭の中ではウロウロソワソワ忙しいことが多いのです。これを「マインドワンダリング」と呼びます

▼Eさん(33歳・女性)の場合

同書より転載Eさん(33歳・女性)の場合

 次々と違うことを考えてしまうのですから、気が散りやすく、人の話を聞いていないことがよくあるのです。Eさん(33歳)も退屈な会議で、ついつい頭の中でウロウロソワソワしていますね。連想ゲームのようにどんどん考えが次のことへ移り変わっていってしまうのです。

 また、黙っているかと思いきや、今度は自分が話したいと思ったことをがまんすることができず、人の話をさえぎって発言を始めてしまうこともあります。集団で「秩序立った対話をする」という会議が、ADHDの人には苦手なのです