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発達障害の人たちの物事の受け止め方や感じ方、つまり「見ている世界」を理解し、コミュニケーション方法を変えることで、ともに生きることが少し楽になる。そんなテーマで送る第4回は、「話を聞かない子ども」についてです。ASD(自閉スペクトラム症)の人もADHD(注意欠如・多動症)の人も、ともに会話中にボーッとして、話を聞いていないように見えることがありますが、それは脳の特性によるもの。怒ってしまうのは逆効果になってしまいます。適した解決法を解説します。(精神科医 岩瀬利郎)
※本記事は『発達障害の人が見ている世界』(岩瀬利郎著)から抜粋・再編集したものです。
表情や声の調子を読むのが苦手なASDの人
注意散漫で意識が別に向いてしまうADHDの人
ASD(自閉スペクトラム症)の人は相手の表情や仕草、声の調子に隠されているメッセージを読み取る力が弱く、また、そもそも自分の興味・関心があること以外の話に気持ちを向けるのが苦手なことがあります。あいまいな表現を想像力で補い、理解するのが苦手なことも少なくありません。
注意散漫な傾向があるADHD(注意欠如・多動症)の人も、目の前の相手以外のことに意識が飛びがちで、話を聞いていないことがあります。そんな発達障害の人たちとは、なかなか会話が成立しなくて困るという声をよく耳にします。
とくに、症状が強く出ることが多い子どもの場合は、親御さんのご苦労は想像に難くありません。
しかし、だからと言って感情的に叱ったりしてしまうと、ますますコミュニケーションが取りにくくなってしまいます。
なぜ会話が成立しないのか、その理由と対応策を知ることが、関係を前進させる第一歩になります。
会話中にすぐ別の話を始めてしまう【8歳・ADHDの女子】と
ボーッとして話を聞かない【9歳・ASDの男子】の例
ADHDのMさん(8歳・女子)は、お母さんと話をしている最中なのに、自分から唐突にまったく別の話をはじめてしまうことがあります。特に、学校の授業の話をしているときにその傾向が強いのだとか。
ADHDの人には注意力散漫の特性があり、自分が興味を持てない話には集中できないことがあります。そして“マインド・ワンダリング”といって、目の前の話とは別のことに意識が向き、頭の中ではまったく別のことを考え、唐突にその話をはじめてしまうことがあるのです。
このマインド・ワンダリングの状態になると、集中してひとつのことを成し遂げるのが難しくなるため、ささいなミスや忘れ物の原因になってしまうこともあります。その結果、叱責を受けたりすると自信を失ってしまうことにもなりかねません。
また、ASDのS君(9歳・男子)は、ご両親と話しているとき、ただボーッとしていることが多いそうです。学校で先生と2人で向き合っていても、話を聞いていないことが多いと連絡があったとか。
ASDの人の場合、心地よくいられる“自分の世界”のようなものが頭の中にあり、少しでも苦痛な話をされると、すぐに自分の世界へと逃避してしまうことがあります。周囲からはただボーッとしているように見えますが、頭の中では、自分が大好きな世界が広がっていて、話が耳に入らないのです。
全然話を聞かない息子に、ついイライラしてしまうというS君のお母さんは、私にこんな胸の内を聞かせてくれました。
「運動が苦手なうちの子。親としては気になるので、体育があった日は『どうだった?』と聞くのですが、たいがいボーッとしているか、好きな電車の話を勝手にはじめてしまいます。『聞いてる? そんな話してない!』と感情的になっては反省を繰り返しています」









