子どもの手を握る女性写真はイメージです Photo:PIXTA

発達障害の人たちの物事の受け止め方や感じ方、つまり「見ている世界」を理解し、コミュニケーション方法を変えることで、ともに生きることが少し楽になる。そんなテーマで送る第4回は、「話を聞かない子ども」についてです。ASD(自閉スペクトラム症)の人もADHD(注意欠如・多動症)の人も、ともに会話中にボーッとして、話を聞いていないように見えることがありますが、それは脳の特性によるもの。怒ってしまうのは逆効果になってしまいます。適した解決法を解説します。(精神科医 岩瀬利郎)

※本記事は『発達障害の人が見ている世界』(岩瀬利郎著)から抜粋・再編集したものです。

表情や声の調子を読むのが苦手なASDの人
注意散漫で意識が別に向いてしまうADHDの人

 ASD(自閉スペクトラム症)の人は相手の表情や仕草、声の調子に隠されているメッセージを読み取る力が弱く、また、そもそも自分の興味・関心があること以外の話に気持ちを向けるのが苦手なことがあります。あいまいな表現を想像力で補い、理解するのが苦手なことも少なくありません。

 注意散漫な傾向があるADHD(注意欠如・多動症)の人も、目の前の相手以外のことに意識が飛びがちで、話を聞いていないことがあります。そんな発達障害の人たちとは、なかなか会話が成立しなくて困るという声をよく耳にします。

 とくに、症状が強く出ることが多い子どもの場合は、親御さんのご苦労は想像に難くありません。

 しかし、だからと言って感情的に叱ったりしてしまうと、ますますコミュニケーションが取りにくくなってしまいます。

 なぜ会話が成立しないのか、その理由と対応策を知ることが、関係を前進させる第一歩になります。