こうした人間の姿を見ていると、立川談志師匠が残した言葉を思い出します。談志師匠は「酒が人をダメにするんじゃない。人間がもともとダメだということを教えてくれるものだ」と話しましたが、この「酒」を「ネット」に置き換えても、そっくりそのまま通用しそうです。

 元来、人間は情報を客観的に処理することができないというダメな部分がありました。しかし、そんな欠陥をネットが明瞭にし、しかも増幅してしまったのが現代だと言えます。私たちは、そのダメな部分をまだ十分に自覚できておらず、以前であれば考えられなかったトラブルが生じ戸惑っているのです。

「ネッ友には依存しない」慎重さ
ある中1女子のSNS活用法

 総体のうちの一部分だけが見えるから容易に仲よくなれるという図式は、SNSにおいて特に成り立ちます。

 ここでは、今を生きる中高生たちが、どのようにSNSを楽しみ、そしてネッ友・リア友を作っているのかを具体的に見ていきたいと思います。なお、登場する生徒たちの例は、特定されないよう個人情報を加工しています。

 中学1年生の女子Aさんは、いわゆるK-POPアイドルの「推し活」をしています。小学生の頃から彼女が使っているインスタは、インスタ映えする自撮りをアップロードし同級生たちと交流する場所ではなく、完全に推し活をするためのツールと化しています。