もちろん、いくら閉鎖的な空間だとしても、たまには反対意見を目にすることもありますし、なかには意図的に異なる主張を収集している方もいらっしゃるでしょう。自ずと偏る空間だけに、そうした姿勢は大切だと思います。
人間は「バイアスの塊」
情報を客観的に処理できない
ところが、私たち人間はバイアスの塊であり、反対意見を公平に取り入れるのは難しいことが科学的に分かってきました。
特に知性の高い方々に言えることですが、仮に説得的な反論や自説に反する情報を目にしても、その持ち前の頭脳を使い、退けてしまうのです。一時的に自説が非合理的になったとしても、すぐさま合理的なものになるよう論理が組み替えられてしまうわけです。
こうなると、反対意見を得るほど理論武装が強化されるようなものであり、なお一層のこと考えが偏るという本末転倒な現象が起きかねません。
人間がバイアスの塊であることを示す科学的な実験や調査は、数多く確認することができます。自説を補強するものであれば怪しい情報でも容易に信じてしまったり、論理的な主張よりも感情を大きく揺さぶるような情報から大きな影響を受けたりするという報告もまた、人間の欠陥を露わにした1例です。