そして、大人の世界の会話に早く参加できる子の方が、やはりものを深く考えられるようになり、社会にも早くから興味を持ちます。親以外の大人と話をするのも怖くなくなるでしょう。
このように、いろいろな会話をして言葉を知るうち、どのシチュエーションで、どんなニュアンスで使われる言葉かがどんどんわかってきます。
知性というものは言葉によって育ちますが、子どもでも「裏金」という一つの言葉から、税金や政治や公共事業など社会の成り立ちを少しずつ知っていくのです。
子どもの将来を考えたら、「こまっしゃくれている」上等、なのです。
記憶優位の9歳前までに
語彙をたくさん教えよう
子どもの教育における究極の目的というのは、子どもが自分自身で考える力を身につけることです。そのための土台をつくる大事な時期が幼児期です。
幼児期の子どもというのは、その成長過程において驚くべき記憶力を持っています。
たとえば、子どもは大人が話している言葉を耳にして、その言葉を文法などの理屈抜きに丸ごと覚えてしまうことがあります。
子どもは新しい言葉やフレーズを聞くとそれをそのまま記憶し、実際に使うことがあります。家族の会話や絵本の読み聞かせなどから、自然にたくさんの言葉を学んでいるのです。
大人になると、このように丸ごと覚えることは難しくなります。リスニングの語学教材などを使って多くの時間を費やしても、なかなか自然に話せるようにはなりません。それは、語学を学ぶ際に大人は文法や理論的な理解に重点を置くためです。
しかし、幼い子どもたちはそうした制約を感じることなく、聞いたままの言葉をそのまま覚えて使うことができます。
ですから、この能力は語彙を増やす際にも非常に有利です。
このような記憶優位の特性を持つ時期に、できるだけ多くの言葉や表現に触れさせることが語学習得にとっては理想的と言えます。