知性は
言葉によって育つ

 そのため、やはり会話が少ない家庭より多い家庭のほうが、子どもの語彙力を伸ばすためにはいいわけです。

 幼児期の子どもには親がよく話しかけることが大事ですが、やはり大切なのは、その中身や質です。言葉の量だけでなく、内容の豊かさも重要なのです。

 言葉の量だけでなく、その質も大事だということです。子どもの人格を否定するような言葉が子どもにとってよくないことは想像に難くありませんが、たとえば芸能ニュースとか、このタレントさんがかわいいといった、いわゆるお茶の間会話にも注意が必要です。家庭の教養レベルは会話に現れますが、やはり他人の噂話ばかりしていても子どもは賢くなりません。

 ですから、もしも子どもがテレビに出ているお笑い芸人を見て笑っていたら、ただ笑って終わりではなく、そのどこが面白いと感じたのかを親子で話し合ってみるのもいいでしょう。子どもは「この人、大人なのに裸で踊っているのが面白いんだよ」と言うかもしれません。

 おバカなことを人前でやることが楽しいと感じる人もいますが、一方で、そういうことをした結果、本当にバカにされてしまったり、いじめられてしまったりする人もいる、という話に持っていくのもいいでしょう。自分の行動が周囲にどんな影響を及ぼすのかを振り返る重要性という話につながるかもしれません。

 同じお笑い芸人を見るのでも、子どもが感じたことをきっかけに会話を広げていくことで、親子の会話の質が変わってきます。

 ある著名な投資家は、子どもにはマネー教育をすべきだと話しています。私にはそれが正しいことかどうかはわかりませんが、少なくともそういう教育をしている家庭の子のほうが、将来は起業する可能性や資産運用で利益を生み出す可能性は高いと思います。

 家庭でそういう話をしているうちに、経済や金融の世界に興味を持つようになり、日経新聞で知らない経済用語を調べてみようという話になっていきます。小さな頃は全部わからなくても、その世界に親しんでいるうちに興味を持つようになっていくわけです。

 また、相手が誰であれ、基本的にわかりやすく話をすることは大事ですが、相手が子どもだからといって、ことさら幼児語で話す必要はありません。「ワンワン」ではなくて「犬」でいいし、「ブーブー」ではなくて「車」「自動車」でいいのです。

 前述のように、子どもというのは、大人が思っているより理解できることもありますし、何となく理解できるという子もいます。

 まずはいろいろな話をしてみることです。