子どもに「うがらねってなに?」と
聞かれたら
たとえば小学校1年生で習う「本音」という熟語であれば、「ほんね」と読めるだけでなく、その意味や使い方を理解して初めて語彙力があると言えます。ですから子どもが語彙力を増やしていくためには、実際の会話を通してどんなシチュエーションで使われる言葉なのかを教えてあげることが大切です。
たとえば、家庭でニュース番組を見ていて政治家の裏金問題が出てきた時、子どもに「うらがねってなに?」と聞かれたとします。
幼児や学年の低い子どもに教えるには難しい言葉です。
ただこの時に、「裏金っていうのは、表には出せない、内緒でやりとりしてしまったずるいお金のことだよ」という話をして、大まかに国民の義務として税金というものがあることを教えてあげるのも一つの方法です。
ポイントは、こんな話は子どもにはわかりっこないと決めつけないことです。「難しいから、あなたはまだわからなくていい」と答えを濁すのではなく、できるだけ丁寧に説明してあげてください。
そうすると、周りの人たちに堂々と説明できるお金を「表金」と言い、ずるいことをして周りには説明できないお金を「裏金」と言う、といった説明を通して、幼児期の子どもでも、「大人たちがみんな税金を納めているから、そのお金で学校や病院や道路ができる」という社会の成り立ちや、「脱税といって、自分だけお金を隠してきちんと納めない人がいる」という事実や、「物事には表と裏がある」というニュアンスを学ぶかもしれません。
もちろん、それぞれの発達や理解度によって「わからない」と言う子どももいるはずですが、幼児期の子どもの脳は、親が考えるよりずっと発達が進んでいます。侮ってはいけません。
ですから、単なる言葉の表面的な意味を伝えるだけではなく、その言葉から世の中のさまざまな事象への理解につなげていくことが大事です。
そして今はまだきちんと理解できなくても、その先には複雑な世界が広がっているということ、それを大人が自分に教えようとしていることがわかれば、子どもの知的好奇心も刺激されるはずです。