漫画家初の文化勲章を
受章したちばてつや
東京の下町・墨田区にある男女共学の中高一貫校だ。1913年に日本大学最初の付属校として誕生した。個性が突出した魅力あふれる文化人などを多数、輩出している。
活躍中の日大一高卒業生として真っ先に挙げたいのは、漫画家のちばてつや(39年1月生まれ)だ。長年にわたり、貧しくとも誠実に生きる主人公たちを描いてきた。2024年秋には文化勲章を受章した。漫画家が文化勲章を受章したのは初めてだ。
11月3日の文化勲章授与式後の記者会見でちばは、かつて漫画が「悪書追放」の対象になったことを振り返り、「(漫画は)悪書から文化の一つになった。この賞は手塚(治虫)先生が受けるべきだ」と語った。
高2の時に漫画家デビューし、「好きな漫画を描いて原稿料がもらえたことがとてもうれしかった」(「在校生へのメッセージ」から)という。
68年に劇画作家である梶原一騎(87年死去)と組み、ボクシングを舞台にした『あしたのジョー』を発表、爆発的なヒットになった。連載されていた「週刊少年マガジン」の発行部数を飛躍的に伸ばし、一時、社会現象にもなった。戦後漫画誌の金字塔と位置付けられる。
『ハリスの旋風』『あした天気になあれ』など次々と話題作を出し、漫画界における長老としての評価を高めた。文星芸術大教授・同学長にも就き、後身の育成に力を注いだ。12年~18年まで日本漫画家協会理事長を務め、18年4月からは会長だ。日本芸術院会員でもある。