自動車・サプライヤー SOS#2Photo:JIJI

日産自動車は3月、サプライヤーに課した割戻金(リベート)が下請法違反に当たるとして公正取引委員会から勧告を受けた。だが、いまだに一部社員がリベートを要求していることがダイヤモンド編集部の調べで分かった。「下請けいじめ」で利益を圧迫されてきた部品メーカーが、日産からの見積もり依頼を拒むケースが発生しており、クルマの開発にも支障を来しかねない状況だ。特集『自動車・サプライヤー SOS』の#2では、サプライヤー幹部ら251人から回答を得たアンケートを基に、日産の問題点を炙り出す。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

サプライヤーが「優越的地位の濫用だと感じた」との
報告数が自動車メーカーで最多の「61件」

 ダイヤモンド編集部は、自動車メーカーによる「下請けいじめ」の実態を解明するとともに、日本の自動車産業のサプライチェーンの持続可能性を調べるため、部品メーカー幹部らを対象にした緊急アンケートを実施した。

 サプライヤーから最も厳しい評価を受けた日系自動車メーカーは日産自動車だった(日産への評価と、トヨタ自動車など他メーカーとの比較についての詳細は本特集の#1『【自動車サプライヤー幹部250人調査】トヨタ・ホンダ・日産の「通信簿」、役員のビジョン・値下げ圧力などを辛口評価』参照)。

 日産は、「割戻金(リベート)」の名目で、サプライヤー36社への支払いを減額していたことが下請法違反に当たるとして公正取引委員会から勧告を受けた。同社は勧告を踏まえ、「割戻金を即刻廃止した」という。

 ところが、アンケート回答者への取材で、日産の調達部門の一部社員がサプライヤーに対し、リベートの支払いを求めていることが分かった。

 次ページでは、いまだに続くリベートの要求や、日産が受注額の何パーセントの支払いを求めてきたか、また、販売不振の損失を下請けに押し付ける同社の悪弊を明らかにする。

 さらに、日産との交渉でアンケート回答者が「優越的地位の濫用」であると捉えたケース61件の内容も大公開する。