世界の大手自動車メーカーが続々と電気自動車(EV)の投資計画を延期している。EVからハイブリッド車(HV)への揺り戻しにより、トヨタ自動車など日系自動車メーカーに有利との論調が目立つが、本当にそうなのか。特集『バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材』(全18回)の#16では、「自動車関連16社の株価と業績の関係」と「向こう1年の業界ビッグイベント20」を分析することで、自動車株を左右する“三大テーマ”を抽出する。果たして、EV失速が日本の自動車株上昇のきっかけとなるのだろうか。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)
米GMもフォードもEV投資延期
トヨタなど日本車HV再評価は本当か?
米ゼネラル・モーターズや米フォード・モーター、独メルセデスベンツなどの欧米自動車メーカーが電気自動車(EV)の投資計画を延期している。昨年からの米テスラの株価暴落に加えて、米アップルによるEV開発の中止報道も重なり、EVバブルの終焉を想起させるバッドニュースが相次いでいる。
3月15日、宿敵の日産自動車とホンダがEV分野などでタッグを組むことになった。詳細は後述するが、両社が協業を急いだのも、大手自動車メーカーがEVで稼ぐことの壁にぶち当たっているからだ。
これを機に、欧米や中国が追随できないハイブリッド車(HV)を擁する、トヨタ自動車をメインとする日本車が再評価される局面に入ったのだろうか。
目下のところ、日本の自動車関連企業の業績は絶好調だ。トヨタの2024年3月期の当期純利益の見通しは4.9兆円と過去最高となり、5兆円という大台突破を見据えている。
日経平均株価の高騰に、自動車業界のHVへの揺り戻しと業績復調のトレンドが重なったように見えるが、今後、自動車セクターの株価はどう動くのか。
次ページでは、自動車関連企業16社における「株価騰落率と業績の関係」と「向こう1年の業界ビッグイベント20」を分析することで、自動車株を左右する“三大テーマ”を抽出する。
果たして、EV失速が日本の自動車株上昇のきっかけとなるのだろうか。