無縁仏になった
ひとり暮らしの元大学教授

 また2024年4月、NHKでは、元大学教授でひとり暮らしの高齢男性が自宅で倒れて亡くなった際、親族に連絡が取れなかったため自治体が火葬したのちに、無縁仏として埋葬し、数ヵ月後に車で10分ほどの近隣に住む弟夫婦がそのことを知った際には、遺骨を取り出すことさえできなくなっていたというケースも報道されました。

 2024年6月10日放送のNHK「クローズアップ現代」によると、その高齢男性が亡くなる5日前にも、弟は会っていたとのことで、弟夫婦は自分たちへの連絡なしに火葬し埋葬した経緯について、京都市に説明を求めました。

 京都市では葬儀を行う人がすぐにわからない場合、戸籍を調べて親族を探すようにしているとのことです。火葬をする前にその高齢男性の戸籍を調べたそうですが、載っていたのは亡くなった両親だけで、弟は結婚して別の戸籍となっていたため、名前はありませんでした。

 弟の存在は古い戸籍には記載がありましたが、調査には時間がかかることもあり、京都市はそこまで行っていませんでした。

 実際、身寄りのない人が亡くなった場合の取り扱いについて、国の統一ルールがないため、判断は各自治体に任されており、対応がバラバラになっているのです。

 高齢夫婦2人暮らしというケースも含め、日常的な他者との関わりが少ない高齢者の周りには、さまざまなリスクが潜んでいます。自分は大丈夫だろうと思っている人のなかにも、「老後ひとり難民」化するケースがたくさんあるはずです。

症状を隠そうとする
認知症の人は多い

 ひとり暮らしの高齢者が認知症を発症した場合、本人がそれを自覚できず、深刻なトラブルにつながることがあります。というのも、症状が軽い間は、周囲の人が異変に気づく可能性が低いからです。

 たとえばあるケースでは、ひとり暮らしの高齢者が、日常的に利用していたコンビニにおむつから排せつ物が漏れた状態で来店したことをきっかけに、問題が発覚しました。