2026年1月13日、共同記者会見に臨むJALの木藤祐一郎執行役員(左)とJR東日本の高木浩一常務執行役員(右) Photo by Yuito Tanaka
日本航空(JAL)と東日本旅客鉄道(JR東日本)が、航空機と新幹線を組み合わせた新たな物流サービス「JAL de はこビュン」を始動させた。従来の半分以下の時間で海外へ荷物を運ぶ今回の“異例”の取り組みは、物流を成長分野と位置付けるJR東の戦略を映し出している。同社の強みを生かせば、物流事業は航空だけでなく、商社や流通、小売り、ECなどとの協業も現実味を帯びていく。連載『エアライン・鉄道の進路』の本稿では、JR東が物流事業に力を入れる狙いと、その先に描く戦略を追う。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
JR東とJALが物流で協業へ
第1号は「越前がに」を台北に
2026年1月13日の夜、羽田空港の駐機場109番スポットには、台湾への出発を待つ日本航空(JAL)99便の姿があった。貨物室に積み込まれていたのは、福井県の名産「越前がに」だ。一見すると、それはいつもと変わらない日常のフライトの風景にすぎなかった。
しかし、この便には物流の常識を覆す新たな「仕掛け」が施されていた。これまで台湾への輸送には、通常30時間以上の時間を要していたが、今回導入された新たな仕組みにより、その所要時間は一気に半分以下へと短縮されたのだ。JALは、その第1号となる輸送現場を報道陣に公開した。
この大幅なスピードアップの鍵を握るのは、JALと東日本旅客鉄道(JR東日本)による新たな輸送サービス「JAL de はこビュン」だ。
今回のルートでは、福井県・敦賀から東京まで荷物を北陸新幹線「かがやき」で一気に運び、昼過ぎには羽田空港に到着。そこで、陸から空にバトンタッチして台北松山空港まで輸送するというもの。その結果、敦賀から台北までの輸送時間は、従来の30時間からわずか12時間40分に短縮されることになる。
この取り組みは、JAL側の挑戦にとどまらない。鉄道事業を主軸としてきたJR東がコロナ禍を経て、物流分野への関与を急速に強めており、その象徴的な動きといえる。
JR東は21年に列車による即日配送サービス「はこビュン」を立ち上げ、25年4月には東北新幹線の一部客室を活用した大口輸送にも踏み出した。同社が持つ鉄道ネットワークと駅を起点とする強みを生かせば、物流分野でシナジーを発揮できる相手は航空会社だけにとどまらない。商社や流通、小売り、そしてEC市場――。こうした相手との連携も視野に入ってくるからだ。
次ページでは、物流事業に注力し始めたJR東の狙いと今後の戦略を深掘りしていく。







