老後、事故や病気で病院に担ぎ込まれた時に、頼れる人はいるだろうか。そもそも、意識不明の状態だったら、誰かに連絡をとることも難しい。なかには、死亡後も身寄りが見つからず、無縁仏とされる人もいるという。そうした高齢者が抱える現実とは。※本稿は、沢村香苗『老後ひとり難民』(幻冬舎新書)より一部抜粋・編集したものです。
普通に暮らす高齢者が
突然「老後ひとり難民」に
高齢期に起きる問題は介護の場面に限りません。
多くの人が自分事として心配しているのは、おそらく「認知症になったらどうしよう」ということではないでしょうか。また、イメージしやすい老後の問題として、「老後資金が枯渇したらどうしよう」という心配もありそうです。
では、認知症のリスクが低く、お金の心配もないという人であれば、安心といえるでしょうか。
ひとり暮らしであっても自立した生活ができており、「現時点ではお金には困っていない」という高齢者の方もいると思いますが、実はそのような人の生活にもさまざまなリスクが隠れています。
自分が「老後ひとり難民」になっていることに気づかされるのは、転んでケガをして動けなくなったり、病気で急に倒れたりして、病院に運ばれたときです。
入院する際、身元保証人になってくれる人がいないと、受け入れてもらえる病院が見つかるまで、たらい回しにされるケースもあります。
入院できたとして、家にある入れ歯や着慣れたパジャマを持ってきてくれる人はいるでしょうか。コンビニで払っている携帯電話料金は、誰が払いに行くのでしょうか。「甘いものが食べたい」と思ったとき、買ってきてくれる人はいるでしょうか。治療費や入院費の支払いはどうすればいいでしょうか。