3月には、新中計「The Arc」を新EC(エグゼクティブコミッティー)10人と共に内田社長が胸を張ってプレゼンしていた。

 年初はそうした華やかな動きも見せていたこともあり、よもやここまで壊滅的な業績ダウンになるとは思いも寄らなかったのが正直なところだ。

ホンダによる「日産統合」が
あり得なくはない

 今回の中間決算で注目しなければならないのが、業績数値とともに発表された三菱自株の10%分の売却である。

 三菱自は、同社の業績悪化により、16年に日産が34%出資して傘下に収めていた。だが、10%分の売却により、三菱商事(20%を出資し日産に次ぐ2位の株主)の出資比率と同程度になる。これまでルノー、日産、三菱自の親・子・孫というアライアンス関係にあったが、ルノーと日産は対等出資に変わり、三菱自への日産の出資比率も24%程度に下がることで、アライアンス関係は変化の兆しが生じている。

 三菱株の売却意図について、内田社長は「三菱自の経営戦略をサポートするため」と説明したが、実態は日産業績悪化によるキャッシュフロー対策といったところだろう。今後は、三菱自の大株主であり、三菱自と日産と次世代モビリティサービスの共同出資会社設立で合意している三菱商事の出方に注目だ。

 さらに、業績の足踏みにより、ホンダとの戦略的提携がどうなるかだ。日産とホンダの提携発表が行われた後、米国の自動車専門メディアのオートモーティブニュースがレバノンのカルロス・ゴーンに取材し、ゴーンによる「これはホンダの“偽装買収”に発展する」との発言を引き出している。