――前職(Twitter Japan代表取締役)も含め、海外に本社のある日本企業のトップという立ち位置です。仕事のやりにくさなどないでしょうか。イーロン・マスク氏のような上司は稀有なのでしょうが…。
日本は「そこそこ」の経済力と人口があり、ビジネスとして非常に魅力的なマーケットです。ただし、文化も商慣習も独自性が高い。海外から世界の中の一つでしかない日本として見られると、正しい成果を出すのは難しいというのが自分の経験の中ではありました。
その意味でDAZNは特殊というか、グローバルのルールを強制するのではなく、日本のニーズを尊重しつつ、それをグローバルの事業計画にどうやって生かすかという考え方になってきています。我々がこの数年先まで描いている計画に対しても理解してもらえています。
滞在時間や再生数の獲得では
ショート動画もライバルに
――ライバルとして意識している企業はありますか。
どのOTTサービスも、無料・有料にかかわらず、利用者の方の滞在時間や再生数の獲得、収入源の多様化に必死になっています。全てがライバルですよね。
近年はショート動画アプリの増加で、消費者の方々の態度変容が起こり、より短い動画にシフトしてきています。広い目で見て、編成戦略や機能の追加などを考えないと、取り残されてしまう危険性があります。
全世代においてスマホとの接触時間が長くなっています。スマホでの視聴に耐えられる動画の時間を意識すると、短い方が見やすいですよね。
実際、DAZNもスマホで見られているケースが多い。コネクテッドTV(ネットに接続されたTV)も伸びていますね。通勤や通学時間にスマホでサッカーや野球を見て、帰宅後はテレビで続きを見るというケースが非常に多くなってきています。
技術面でも見やすい環境を作ることは意識しており、投資もしています。同じ利用者であっても、視聴環境がテレビに移った場合は高解像度のデータを送るなど、シームレスに裏側で動くように設計しています。
――Jリーグと11年間(2033年まで)で約2395億円という放映権契約を締結しています。
まずはサッカーファンに満足いただけるコンテンツをそろえます。ワールドカップ予選などにも、積極的に投資をしていきます。
サッカーの中ではJリーグがまず絶対的に優先度が高い。日本で事業をしているので、代表戦を含め、日本にスポットライトを当てることが重要だと考えています。そのうえで、海外サッカーについてもしっかり取り組んでいきたい。