<正解>

 15回

 考えるまでもない単純な問題のように思えますが、そんなときこそ「批判思考」の出番です。
 
直感で飛びついた結論を疑って考えてみると、真実に辿り着けるでしょう。

パッと浮かぶ答えに要注意

「いや、7回でしょ」

 そんな感じで即答できそうですが、なんとなく察していただいたとおり、答えは7回ではありません。

 航海にかかる日数は7日で、1日に1隻が出発するから、計7隻とすれ違う……ように思えます。
 しかしじつは、これだけでは不十分です。

問題の世界にも「過去」はある

 見落としている観点があります。
 それは、海の上ですれ違うことになるのは「これからオーストラリアを出発する船」だけではないという点です。
 そう……

 過去7日間でオーストラリアを出発していた船

 とも、海上ですれ違うことになります。
 それらの船はすでに出発して海上にいて、日本に向かっています。
 当然、オーストラリアに向かう途中ですれ違うことになるわけです。

 つまり、こういうことです。

 ・日本の港の出発時に、オーストラリアから7日間の旅を終えて到着する1隻とすれ違う
 ・日本からオーストラリアへ向かう海上で13隻とすれ違う
 ・オーストラリアの港の到着時に、いまオーストラリアを出発する1隻とすれ違う

 このように、合計15隻の船とすれ違うことになります。

「思考」のまとめ

 24時間ごとに1回すれ違うわけではなく、12時間ごとに1回すれ違うわけですね。
 1日に1隻の船が出ると聞いて、「すでに海上には7隻の船がいる」と、現状の認識をアップデートできるかどうかがポイントでした。
 問題の状況から思考をはじめず、そこに至るまでの「過去」にも目を向けることの大切さを教えてくれる問題ですね。

 ・時間軸を俯瞰して考えるときは、未来だけでなく「過去」にも目を向けることで、現在を正しく把握できる

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者
ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1500万円を達成するなど活躍。その後フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。