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富士通が開発する半導体チップ「MONAKA(モナカ)」の本格展開が見えてきた。2027年3月にも台湾積体電路製造(TSMC)で量産が始まる。ダイヤモンド編集部の取材で「モナカ搭載の国産AIサーバー量産計画」も明らかになった。今後は米エヌビディア、ファナック、安川電機、川崎重工業との提携を通じて、フィジカルAI分野に展開する。特集『AI産業戦争 米中覇権に呑まれる日本』の#20では、モナカを中核とする富士通のソブリンAI戦略の全体像に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
エヌビディア提携を拡大させた
富士通「MONAKA」の潜在力とは
2025年5月、台湾・台北市。米エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)がIT見本市「コンピューテックス台北」に併せて開催した技術イベントで発表した計画は、半導体業界でサプライズとなった。
これまで自社向けに限定してきた高速チップ間接続技術を他社へ開放する「NVLink Fusion」を発表したからだ。これにより、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)は他社のCPU(中央演算処理装置)と高速接続することができるようになり、その最初の提携先として選ばれたのが、米半導体大手クアルコムと富士通だった。
富士通は27年に、2ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最先端半導体「MONAKA(モナカ)」を量産する計画を進めている。NVLink Fusionのパートナーに選ばれたことで、データセンター向けCPUとして採用拡大への道が開けた。エヌビディアのGPUとの結合は29年度の次世代品「MONAKA-X」で実現する方向だ。
両社の提携はその後、一気に広がった。25年8月には理化学研究所が30年ごろの運用を目指すスーパーコンピューター「富岳」の後継機(富岳NEXT)に、富士通のCPUとエヌビディアのGPUを組み合わせて搭載することを決めた。
同年10月には、富士通の時田隆仁社長と来日中のフアンCEOが記者会見を開き、CPU・GPUの結合で高性能計算基盤を共同開発し、フィジカルAIの社会実装において協業すると発表した。
そして26年7月16日、フアンCEOの再来日に合わせ、富士通、ファナック、安川電機、川崎重工業の4社が、エヌビディアと連携してフィジカルAIの実用化を目指すことを表明した。
「エヌビディアとの協業がここまで広がったのはモナカがきっかけだと思っていい」。ダイヤモンド編集部の取材に応じた富士通のヴィヴェック・マハジャン副社長CTO(最高技術責任者)は、日本発のCPUが高い評価を受けたと胸を張る。
モナカは、日本企業が手掛ける唯一のAIデータセンター向けCPUだ。開発は22年2月、経済産業省のグリーンイノベーション基金の支援事業の一環として採択されて始まった。スパコン「富岳」向けCPUの後継と位置付けられているが、経産省の支援を受け、用途をAIデータセンター向けへと広げた。
マハジャン副社長によると、モナカは27年3月に台湾積体電路製造(TSMC)で量産を開始し、4月にはCPU単品で出荷される見通しだ。
これにより本格導入の段階に入る。まずは、富士通と産業用ロボット3社の提携が、データセンター向けに開発したモナカの利用を広げる起爆剤になりそうだ。
次ページでは、独自取材でフィジカルAIがモナカ普及を加速させる構図を明かす。さらに「モナカ搭載の国産AIサーバー量産計画」をメディア初公開し、富士通が描くソブリンAI戦略の全体像に迫る。







