訪問先で紙コップの飲み物を出されたとき、「感じのいい人」は何をしてから帰る??
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
相手の「時間」を考える
ほんのちょっとのことだけれど、された方にとっては時間の節約になってありがたい。
そんな心遣いが、実は暮らしのいたるところにあります。
たとえば、ホテル勤務の友人は、チェックアウトのお客様に使用したタオルをバスルームに集めておいてもらえるだけで助かると言っていました。
一日に清掃する部屋数は膨大でしょうから、一部屋でかかる時間が30秒でも短くなれば、全体で数十分の節約になります。
この積み重ねが、大きな効率化につながるのです。
さりげない行動が、きっと誰かの目に留まる
この考え方は、ビジネスシーンでも生かせますよね。
たとえば、取引先を訪問する際、会議室でペットボトルや紙コップで飲み物がふるまわれた場合、あなたは最後にどのように席を立っているでしょうか。
利用した部屋を退室した後、誰かが仕事の手を止めて片づけをしています。
私がまだ新人だったころ、同行した先輩社員が、空になったペットボトルと紙コップを一か所に寄せ、出しっぱなしになっていた椅子をテーブルに戻している姿を見て、ハッとさせられました。
それ以来、私も同じように心がけるようになりました。
ほんの少しの手間をかけるだけで、誰かの貴重な時間を節約することにつながると知ったからです。
拙著『気づかいの壁』でも、細々とした仕事を誰がやっているかを知っておく大切さをお伝えしていますが、感じのいい人は、こうしたサポートをしてくれている人たちへの配慮や感謝を忘れません。
ちょっとした気づかいが、実はその場を支えている誰かにとって、とてもありがたいものなのです。
次に訪問先を立ち去るときは、これまでより少しだけ念入りに部屋の中を見渡してみてください。
さりげないあなたの行動が、きっと誰かの目に留まっています。
感謝の気持ちは、時間への配慮という形で伝えられていることでしょう。
(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。