「退職後の幸せ」には要素が4つある
退職前に考えたことは、お金の不安だけではありませんでした。もう一つは、
「会社を辞めた後、自分が幸せに生きるためには何が必要か」
でした。会社員の間にそれを考え続け、私は「人が幸せになるには、次の4つの要素が揃っていることが必要だ」という結論にたどり着いたのです。
人が幸せになるために必要な4つの要素とは「時間」「お金」「健康」「友達」。これらがすべて揃うと人は幸せになれます。しかし実は、ほとんどの人にとって、人生のどのタイミングを取ってみても4つ全て揃うタイミングはないのです。
学生の頃は、時間はあるし友達もいるけれどお金がない。働き出すと、お金はあるのに時間がない……ところが早期退職した今、私は4つとも揃っているなと実感しています。
何よりも大切なのは時間。定年退職の最大の魅力はタイムリッチ
「お金と時間、あなたはどちらが大切ですか?」
このような質問をよくネット上で見ることがあります。多くの方は「お金」と答えているようです。たしかに定年退職の文脈でも、投資でのお金の増やし方が注目されたり、退職後もお金が相当必要であったりと、「キャッシュリッチ」になることばかりにフォーカスが当たりがちです。
しかし、収入が高い人やお金を持っている人は世の中に山ほどいますが、日々忙しく自由な時間がない方、プレッシャーやストレスに追われている方が大半です。これは「キャッシュリッチが直接的に自由で自分らしい人生に結び付くわけではない」ということを表しています。私自身、会社員生活を振り返ってみると、朝から晩まで働いてお金を貯めることに必死になっていましたが、あまりにも忙しすぎてお金を使う暇がありませんでした。
外資系企業で夜中までずっと働く日々と、退職後に自由な時間がある日々の両方を過ごした上で感じるのは、自由の本質は間違いなく「タイムリッチ」であるということです。決して「キャッシュリッチ」が主軸ではありません。実際、どれだけ年収が高くても、資産を持っていても、時間がない人生に幸せを感じることは一切ありませんでした。
ですから、将来定年を迎えたあとには「お金が不安だから、再雇用で給料が大きく下がっても、会社が雇ってくれる間は働き続ける」という選択肢のほかに、「24時間365日を自分の時間にして、自分らしく好きなことをする人生」も視野に入れていただければと思います。