アスリートに同様のワークを行ってもらうと、Rが90%くらいになることが多い。試合に勝ったとき、シュートが決まったとき、1本を取ったとき、完登したとき、バーディーを取ったとき、チャンスをつかんだとき、1セット取ったとき、PKを止めたとき、などなど、アスリートは結果に伴う楽しさのために日々練習して努力している。がしかし、結果はコントロールできないので、アスリートも気づくと苦しくなって「不機嫌の海」に落ちていく。

他者がいないと「楽しいこと」は?
自分ひとりで「楽しい」ことは?

 次は、もう1つ別の視点で楽しいことリストを分析してほしい。「他者がいないとできない楽しいこと」は「Others」なのでO、「自分ひとりでできる楽しいこと」は「Myself」なのでMをマーキングしてみよう。Oはいくつあっただろうか?Oの比率は何%だっただろうか?一般に、60%から70%くらいが他者との関係の中で仕事の「楽しい」を感じている。部下が成長したとき、お客さんから感謝されたとき、仲間が元気なとき、職場の仲間とあいさつを交わしたとき、上司にほめられたとき、などなどは他者が必須の楽しさだ。チームスポーツのアスリートほどこの割合が高い。

図表:仕事で楽しいときリストと分析(2)同書より転載 拡大画像表示

 先日、このワークをしたJリーグのゴールキーパーはOが100%だった。ディフェンスと意思の疎通ができたとき、オフェンスが点を取ってくれたとき、チームの一体感を感じたとき、ディフェンスが頑張っているとき、コーチングの声がピッチのみんなに届いたとき、などなど。人は認知的に他者とのつながりを大事にするために、ビジネスもスポーツもこのようにOの比率が高くなるのだ。

 他者との関係で楽しさを感じる一方で、他者はコントロールできない存在でもある。多くの人は、人間関係でストレスを感じていたりもするのだ。結果や他者での楽しいことの比率が多いからダメなのではない。