腸は人体の解毒・浄化機能の
大部分を担っている
腸は、人体のデトックス(解毒・浄化)機能の大部分を担っています。野菜などに付いているといわれる残留農薬や汚染物質、また食品添加物など体外から侵入してくる毒素の75%は、便として排出されるのだそうです。
ちなみに残りの毒素は、20%が尿、3%が汗から排出されるといわれています。さらに残りの2%が毛髪や爪に出るといわれています。
腸がきちんと機能していない場合(例えば便秘など)、体内に毒素を溜めてしまうことになります。
また、排出されるべき老廃物が腸内に増えるため、毒素も増えてしまいます。腸の排泄機能はそのような毒素(老廃物)を体外に出し、さまざまな全身の不調を防ぐ大切な機能です。
腸内フローラを良好に保つ
重要な「エネルギー源」とは?
「腸内環境」とよく言いますが、この腸内環境の構成要素は3つあります。
(1)腸内フローラ(腸内細菌叢、腸内常在微生物叢ともいう)
(2)腸管機能
(3)食事(食事をすることで腸にやってくる栄養分等)
みなさんご存じの「腸内フローラ」は、腸内環境のことではなく、腸内環境の中の1つの要素です。
小腸から大腸にかけて腸の壁にはたくさんの襞があります。襞にはおよそ1000種類、100兆個もの細菌が棲み、フローラ(細菌叢)という群れをつくっています。腸内の細菌は、人が食べた食事の栄養分をもとに発酵して増殖します。
腸内フローラを良好に保つには、食物繊維やオリゴ糖などを摂取することがもっとも重要です。これらは、難消化性多糖類と呼ばれ、腸内フローラのエネルギー源となります。
難消化性多糖類は、大腸内に到着すると、重要な基質(栄養分)として嫌気発酵を行います。この発酵により、腸内フローラはエネルギーを獲得します。
この大腸内発酵における代謝産物は、短鎖脂肪酸、メタン、水素ガス、アンモニアなどです。このうち、短鎖脂肪酸に含まれる「酪酸」は、近年、「天然のやせ薬」といわれ注目を集めています。
腸内細菌、腸内環境が正常なら
太りにくい体でいられる
先に触れた大腸内発酵の代謝産物である短鎖脂肪酸ですが、これは食物繊維を分解する過程で作り出されます。この短鎖脂肪酸は主に「酪酸」「プロピオン酸」「酢酸」の3種類があり、このうち「酪酸」は、大腸の腸管上皮細胞のエネルギー源で、整腸効果や腸の炎症抑制、免疫力の向上にも作用することがわかっています。
さらに近年、米国の研究により、酪酸に「肥満抑制効果」があることが明らかになりました。脂肪細胞には酪酸を感知するセンサーがあり、酪酸を感知すると、「中性脂肪の蓄えをやめる」という働きが起きるのです。