誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!
「使命感」ってなんだろう?
よく「使命感を持っている人は強い」「尊敬できる」「前進する力がある」みたいに言われることがありますよね。
たしかに、そうした使命感を持っている人は、なにか特別なエネルギーを感じるものです。
私自身は以前、まわりの人から「使命感がないよね」みたいなことを言われたことがあるんです。そのとき、「たしかにないな……」と納得しました。
自分にとっての使命感とは?
私はわりとノホホンとした性格で、「のんびり楽しく生きられればそれでいいや」というスタンスです。
もちろん、これまでにいろいろな嫌な経験もしてきましたが、それはさておき、いまも本質的には楽しく生きていたいと思っています。
それでも、使命感をまとった言動に触れると、たしかに強いパワーみたいなものを感じます。
その一方、「本当の使命感って、そんな堅苦しいものじゃないのではないか」と思う面もあるのです。そこで、私自身にとっての使命感とは、なんなのかを改めて考えてみました。
使命感は仰々しくなくていい
そこでわかったことは、私にとって一番うれしいのは「自分の話を誰かが聞いてくれる」ということ。純粋にそのうれしさを求めて、こうしていろいろな発信しています。
そのうえで私の経験や考えが誰かの役に立つなら、それはとてもうれしいこと。人は誰しも心の奥底で「楽しく生きたい」「楽に生きたい」という思いを抱いているものです。
だからこそ、少しでも楽になる考え方や生き方を知ってもらいたいという気持ちがあります。でも、それを「使命感」と呼ぶと、少し仰々しい気もするんですよね。
堅苦しさを捨てたシンプルな生き方
結局のところ、私の使命感は「おしゃべりすること」なんです。それも、誰かと対話するというよりは独り言に近いかもしれません。
その独り言を見聞きして「役に立つ」と思ってくれる人がいる。それだけで、私は充実感を感じます。だから、私の使命感は、とても原始的で単純なものなんです。
「使命感」というと、どうしても大げさで壮大な目標のように捉えがちですが、そんなふうに堅苦しく考えると、重たくなってしまうし、柔軟性がなくなります。
目標疲れしていませんか?
人間はうまくいかないこともたくさんありますから、あまりにも大きな目標を掲げてしまうと、逆に楽しくなくなってしまうのではないかと思います。
それよりも、自分にとって「どんな状況が一番楽しいのか」を素直に考えて、その点を追求ことが大切だと思います。
それが自分のモチベーションを高めるし、それこそが「使命感」なんじゃないかと思うのです。
だから、「何かを成し遂げること」や「誰かに何かを伝道すること」みたいな高尚さがともなわなくても、自分が一番嬉しいこと、楽しいことを考えてみる。それだけでいいんじゃないかと思います。
使命感は「感覚的」でいい
使命感というものは、語尾に「感」とつくように、本来、感覚的なものだと思います。重く考えず、シンプルに「自分が楽しいことは何か」を見つめてみる。
そうすれば、自然と前進する力も湧いてくるはずです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。